良くも悪くも大衆向け『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』

初めての方はこちら必ず全て読んでください

 

評価︰★★☆

体感ジャンル︰学園コメディお祭りサスペンスアクション

スパイク・チュンソフトのサスペンスアクションゲーム。機種はPSP。後にPSvitaPS4、Steamに移植された。入学する筈だった学園に閉じ込められた苗木誠は、そこに集った才能溢れる他の14人の学生達と共にコロシアイを強いられる事になる。今回はSteam版をプレイした。

 

※被害者、オシオキを受ける人物、黒幕のネタバレを見た上でプレイしています。このページ内でネタバレはあまりしませんが、苦手な方はブラウザバックお願いします

 

 

○キャラクターのクセの心地良さ

 このゲームのキャラクターは癖の強さがトップクラスだ。典型的チャラ男、オタク、風紀委員、ギャル、霊長類最強女子などなど、一見嫌悪感すら湧きそうなキャラが勢揃いだ。ところがそんな感情は実際には湧かない、どころか全てのキャラに愛着すら覚える。これは何故か?
 癖が空気を読んでいるから、だと私は考える。ストーリー進行の邪魔にならない程度に発揮し、可愛らしさ、健気さを織り交ぜることで「学生らしい情熱」の範囲に収め魅力へ昇華している。このキャラクターの構成は天才的なレベルだ。

 

○突飛で予想出来ないトリック

 プレイしながら「あれ伏線かよ!?」と何度叫んだか分からない。そのぐらい展開は予想がつかない。これはこのシリーズの特徴でもある。犯行に関係無さそうな会話や出来事が犯行に繋がっている。どう考えてもこいつが犯人だろ!というところから、全く関係なさそうな人物が捜査線に浮上する。たまに訳分からなくて詰む。「ばなな」ってなる。
 プレイ中終始驚きが絶えない。ネタバレを入れてこの驚きの連続はすごい。
 ただ強いて言えばもう少し才能の絡んだトリックが見たかった。

 

✕マシンガントークバトル

 殺人を推理し裁く学級裁判、その中のミニゲームの一つがマシンガントークバトルだ。○印にノーツが重なった時にキーを入れると相手に攻撃出来るという音ゲーであればオーソドックスなものだ。だが、これは音ゲーではない。曲とテンポがズレてるからな!!!!!
 シリーズ通して直っていないため意図的なものかと思われたが、後に「曲を聞いてリズムに合わせて」といった文が登場したりする。矛盾だ。この文を論破させてくれ。
 つまり音ゲーの皮を被った「曲に惑わされないように目押しするゲー」なのだが、緊張感はあっても爽快感がない。それは違うよ!

 

✕苗木誠

 断言する、これは完全に私の好みだ。それでも敢えて言う事にする。
 私は彼に感情移入する事が出来なかった。
 彼は「信頼」「仲間」という物を大切にしているように見えるが、その割に行動が不信感を抱えた人のそれだ。それは信じているからだよ、って言いたいのは分かる。ただあまりにも説得力がない。その根拠のなさもあくまで大衆向けゲームなのだと感じられて私には合わなかった。怒った霧切さんに「いいぞ、もっと言ったれー!」と思ったのは私だけだろうか。
 また終盤の展開の彼も危険だ。見方によっては周囲を道連れにしているように見える。終盤の演出は王道かつ独自性もあって素晴らしいのだが、シナリオはトリックが絡まなくなり急に説得力が無くなるのは残念だった。

 

まとめ

 このゲームの前評判として「グロい」と聞いていた。だからその方面に期待を寄せていたのだが、心構えを間違えた。これはBASARAのように軽く楽しむキャラゲーであってグロゲーでは無い。
 サスペンスとキャラのクセを高めつつギャグに包む事で大衆向けに仕上がっており、真の不条理を求めるユーザーには物足りないだろう。
 あ、とある選択肢を間違えると出るスチルは本当に絶望させてくれた。あれはかなりの絶望感でした。