ノリのキツさに着いていけるか?『Dimentionハイスクール』

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評価:★★☆
体感ジャンル:男子校青春シュールクイズドラマ

2.5次元アニメを自称している。地上波番組。高校3年生の白山純平はある日拾った石の「スプーディオ」に導かれ、他の4人と共にアニメの世界に飛ばされた。3次元と2次元を行き来しながら、スフィンクスとの謎解き勝負で世界を守る事になる。


〇謎解き要素はガチの出来

 スフィンクスが出題する謎解き。これは制限時間内に正解すればスフィンクスを倒し元の世界へ帰れる、正解できなければメンバーの1人から大切なものを奪われる、という重要な要素だ。これが視聴者から見て簡単だと白けてしまうところだろう。
 ところがこの作品の謎解きはガチの難易度で、IQサプリを2、3倍難しくしたようなものが出題される。制限時間に伴う焦りを登場人物と共に感じられる良い難易度だと思う。


〇キャラとストーリーは良い

 このアニメの主な登場人物は、主人公だけどどこかM気のある白山、白山を拒絶する緑ヶ丘、虚勢を張ってしまう黄川田、黄川田と仲良くなりたい水上、守銭奴教師の桃谷の5人。他にスプーディオ、スフィンクス達、白山の部活仲間がいる。
 それぞれの個性、関係性はなかなか癖が強く、他作品にはないアイデンティティとなっている。腐女子の私としてはいわゆる「薄い本が厚くなるな!」という言葉が脳裏に浮かぶ仕上がりだ。しかしあくまで「友情」の範疇に収まっているため、男性視聴者でも嫌悪感は少ないと思う。
 何より上記の謎解きで奪われたものによって話が展開し、関係性が変化したり絆が深まるストーリーは良い出来だ。個人的には黄川田と水上の関係性は特に良いと思っている。そして伏線もしっかり張られていて、最後の最後まで目が離せない秀逸なシナリオだった。

 

×ノリに着いていけない

 正直に言うと1話からキツイ。スプーディオが喋りだし投げて追い出す描写が何度もなされ、2次元世界で皆が目覚めるまでの描写、モーションキャプチャーであることをほのめかす描写……長い。そしてわざとらしい。あと謎解き中に「ああじゃないか?」「こうでしょう」と議論する登場人物の声に謎解きが邪魔される。「痛々しい」という感覚に何度か心が折れかけた。これに慣れるまで、かなりかかる。自分は終盤までかかった。
 とりあえず物語の面白さが出てくる3話までが勝負だ。

 

 ×12話

6話と12話はアドリブドラマとなっている。6話はコメディ回、箸休め回としての役割が感じられて良かった。しかし全12話のこの作品の12話は意味を感じられなかった。実質的な最終回、エピローグは全て11話に収まっている。12話は20分ぶらぶらと校舎の肝試しをするような内容で、見ていられなかった。俳優さん好きなら素が感じられて美味しいかもしれないが、シナリオ的な意義は無い。

 

まとめ

 天てれの中でやる3Dと実写を組み合わせたショートドラマか、それかあの佐藤健甘ロリを拝める懐かしのプリプリDか、そんな雰囲気を感じた。
 古臭い形式、なのに現代的な流行は捉えている。難しい企画を成功ラインまで持ってこられたすごい番組だと思っている。アニメでは無いけどな!